「世の終わりには人口が三分の一になる」という予言は古来から各所から出されている。
私もそうなるだろうとは思っていた。
だが、人口が三分の一まで減るとは、どういう事態なのだろう?
自然災害でも、そこまでは減らない。
では、どうなるのか?
10年ほど前にビル・ゲイツが次のようなことを語っているのを読んだことがある。
「災害では人は減らない。だが感染症のパンデミックなら人は大きく減る」
なるほど、パンデミックか。
凶悪な細菌とかが伝搬すればありうるな。
だが、感染が広がればそれに対する防御も始まるので、それほどの大きな死者は出ないだろう。
最悪、世界で何千万人かは亡くなったとしても、そこで食い止められるだろう。
パンデミックによる大幅な人口減は、人智によって防ぐことができるだろうと私は考えた。
これによりビル・ゲイツの「パンデミック大量死」の考えは、私の記憶の重要倉庫から一般倉庫に移された。
そして新型コロナ禍が始まった。
「これは世の終わりが始まった」
私は2019年12月31日大晦日に中国からの未知の感染症が起きた第一報を聞いた時、そう思った。
その直感は断固としたもので、安易に否定できない強さを持っていた。
未知の感染症=新型コロナは感染力は非常に強く、異例の早さで広まった。
3ヶ月ほどで世界中に伝搬した。
死亡率や重症化率も高く、様々な後遺症が報告されているが、ペストやコレラほどではない。
人類に壊滅的な損害を与えるような病気ではないらしい。
であれば、数年で収束するであろう。
「世の終わりが来た」という私の直感は外れたのか?
私はそう思った。
否、待てよ。
このまま終わるとは思えない。
それほど簡単で優しい直感ではなかったからだ。
~続く~