現在はギリギリのところで踏みとどまっているこの肉体の頭髪であるが、将来はどうなるのだろうか?
母方の親戚の男性陣を見れば、おおよその予測は立つ。
見事に年齢順で髪は少なくなっている。
長老たちの頭は、一人の例外もなくヘルメット状に光を反射している。
これほどはっきりわかると、諦めがつく。
いずれ私の頭髪も、頭部から順次離脱を始めるであろう。
諦めは早いほうが良い。
「そんなことわからないよ。抵抗してみたら?」という声もあるかもしれない。
否、無駄な抵抗は時間と労力の無駄である。
別れを早めに意識することにより、将来の落胆を軽減することができる。
一種の心理的防衛と言えるだろう。
肉体はいずれ必ず消滅する。
頭髪の離脱は、その予告である。