不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

久しぶりの通夜。その②

 私は会場に着いた。
 入ってすぐ右の受付のカウンターに行く。
 すると、近くにいた女性が私にこう告げた。
 「受付はあちらです」
 女性が示す方向には、移動式のカウンターが置かれて
いた。
 そこは本来なら参列者席の区画である。
 ここで受付するのか?
 会場を見渡すといつもと様子が違っている。
 参列者席が会場の半分ほどしかない。
 残りは椅子が取り払われてしまっている。
 これは、どういうことなのか?
 参列者が少ないことを見通して、椅子の数を減らしたの
だろうか?
 事前想定を超える参列者が集まり、予備の椅子を並べ
るということはこれまでにも何回もあった。
 だが、今回は逆に最初から椅子を半分の数に削っている。
 空席ばかりだと少し寂しく体裁が悪いと考えたのだろうか?
 どうしてだろう?
 誰かに尋ねてみようか?
 否、止めておこう。
 気が付かなかったことにしておこう。
 不自然であるが、そうしよう。
 気が付かないふり、知らないふりでその場をやり過ごす。
 これの処世術の一つではなかろうか?

 ~続く~