にも季節は進んでいた。
10日には、ツクツクボウシの声がよく聞こえていた。
暑いばかりの日々から、少し涼しくなり始めるとツクツク
ボウシの出番である。
ツクツクボウシの声はなかなか趣がある。
他のセミが一定の鳴き声のロングノートの連呼が主であ
るのに対し、ツクツクボウシは鳴き声が複雑である。
ージングを変えお馴染みにの声で終わる。
これほど手の込んだ鳴き声の虫は、他にはいないだろう。
鳴く虫は沢山いるが、それらは一つのフレーズをを連続し
ているだけである。
ツクツクボウシはそうではない。
序破急とも言える展開を持った鳴き方をする。
唯一無二と言えるだろう。
オリジナリティあふれるこのセミは、出現時期も特有であ
る。
夏が終わる頃、他のセミがいなくなってから現れる。
そこで独唱を披露する。
10日以降このセミの声がしないところをを見ると、あれ
が今シーズンの鳴き納めだったのかもしれない。
ツクツクボウシが鳴き、その声が消えた頃、秋は始まる。