不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

町内会の初会合に行った。その⑤

 開始1分前になった。
 正面を背にして会長、3役らが並んで座っている。
 会長が会場を見渡して声をかける。
 「〇班の○○さんは、まだ来てないんですか?」
 机の上にはネームプレートが置かれており、どの班の
誰が未着なのかが一目でわかるのだ。
 衆目の中でこうして名前を挙げられることは、ちょっと
恥ずかしい。
 皆さんがそう思っておられると推測される。
 「○○さんは、ここへ来る途中で具合が悪くなって、今
病院に向かっているそうです」
 ○○さんの隣の班の□□さんが、そう答えた。
 「そうですか」
 会長は一息置いてから、また会場を確認する。
 「〇班の△△さんもまだ来ていませんね」
 この時刻になって来ていないとなると欠席は確定だろう。
 会場は静まり返る。
 その班は欠席者が頻出する班である。
 個々に口頭で連絡しているのに、欠席するとはうっかり
忘れてといった類ではないのであろう。
 直接注意すれば「あぁ忘れてました」と言って出てくるの
だろうが、そうされなければ、そのまま欠席するつもりであ
ろう。
 私が前回出た年度の会長は、その場で携帯電話から直
接電話を入れて呼び出した。
 慌てて到着したその人には会場の皆から冷たい視線が
寄せられた。
 今年度の会長さんは、どうするのだろうか?
 出席者が様子をうかがう。
 会長は黙ったままだった。

 ~続く~