不二家憩希のブログ

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町内会の初会合に行った。その⑥

 会長が開式の挨拶を始めた。
 大いに型にはまった文句が並べられている。
 この挨拶・口上は伝統的に決まっている。
 他の役員の説明の仕方も言い方が決まっている。
 ナンセンスではあるが、そうなのだ。
 ある年の会計の人が、自分の言葉で説明をしようとし
た。
 普通の丁寧語である。
 方言を交えたわけでも乱雑な表現をしたわけでもない。
 細かい言い回しを自分でアレンジしただけである。
 するとすぐに他の役員からクレームがついた。
 二人は言い争いになった。
 他の役員は細部にまで伝統を守るようにと強く主張し
た。
 会計の人は、それを突っぱねた。
 互いに譲らなかった。
 当町内会では、こうした愚かな伝統重視の気風が残っ
ている。
 それに気づいている人は大勢いる。
 波風を立てて揉めても面倒なので、黙っているだけな
のだ。
 だが、伝統重視派の人も一定数が存在する。
 彼らはその影響力を維持し続けている。
 伝統に対する盲従であり狂信である。
 他の社会ではありえないことが、町内会では生きてい
る。
 特殊な世界である。

 ~続く~