サドルは、極めて簡潔な部品が組み合わさること
により自転車に取り付けられている。
これは今だから偉そうにそう書けるが、当時はそ
うではなかった。
私は機械モノには実に弱いのだ。
部品を見ても、何がどういう役目なのか、すぐには
わからない。
あぁ、どうしよう?
自転車の整備をし慣れている方なら「何を言ってい
るんだ?」という感じだろう。
そうだ!
私はお隣の自転車を拝見しにいくことにした。
Nさん宅の自転車は家の裏手に置かれている。
サドルの部分を下から覗いてみる。
単純すぎてもうひとつわからないな。
私はわが家に戻る。
部品を組み合わせてみる。
キャストパズルのようだ。
そうしているうちに正しい組み合わせに行き着いたよ
うだ。
あ~やっとか。
ようやく取り付けが始められる。
そこから先はわりと順調だった。
自転車本体に取り付ける。
モンキースパナでナットを締め緩く固定する。
サドルが水平になるように角度を調節する。
そして角度が決まれば動かないように締めていく。
作業手順としては、とても簡単なものである。
だが、不案内な者にとっては決して簡単ではない。
作業が終わり道具を片づける。
一通り終わった時点で時計を見た。
1時間5分も経っている。
うわぁ~、そんなにかかったのか。
プロなら10分以内に完了するだろう。
あぁ、私はいつもこんな調子だなぁ。
進歩があまりない。
まぁ、それでも自分でやれたという満足感はある。
能力に劣る人間でも、やる気と時間をかければ、何と
かできるということか。
次回、サドルを取り替える時まで今回の作業手順を憶
えているだろうか?
私は自信がない。
だが、やる気だけは維持しておけたらと思っている。