ジョン・レノンのクリスマスソング「ハッピー・クリス
マス」は没後ヒットである。
「没後ヒット」とは、ミュージシャンが急逝し、再注
目を集めて曲がヒットすることを指す言葉である。
私の造語である。
「ハッピー・クリスマス」はジョン存命中は、一般に
は大して取り上げられる曲ではなかった。
ジョンのファンには思い入れを込められる名曲なの
だと思うが、世間的には知られざる一曲だった。
少なくともラジオでは殆どかからなかった。
ごくたまにかかると(へぇ~珍しい)と思ったものだ。
それもクリスマスシーズンに1~2回だった。
現状からすると嘘のような話ではあるが、本当の話
である。
シングルとして発表されたが英国以外ではヒットも
しなかった。
米国では最初の発売時にはチャートインすらしなか
った。
その後かろうじてチャート入りしたが最高で36位ま
でしか上がらなかった。
元々この曲はその程度の曲だった。
それがジョンが12月8日に射殺されると状況は変わ
ってくる。
その年のクリスマスには、急に何度も流れるように
なった。
どの番組でも「ハッピー・クリスマス」がかかった。
ファンから射殺されるという衝撃度とある意味「時の
人」ということで、選曲されるようになったのだろう。
その翌年からはクリスマスになると「ハッピー・クリス
マス」が何度も流れるようになった。
そして今ではクリスマスソングの大定番曲となった。
後追いの若いファンの方々は意外に思われる方も
多いかもしれないが、実際にはそうだったのだ。
私はジョン存命中の空気を知っているので、今の風
潮にこそ違和感を感じている。