わが家の前にクルマが止まった。
あのクルマはＫWさんだな。
今月も、もうそろそろお越しになる頃である。
私はＫWさんのお歳を知らない。女性に年齢を聞い
てはいけないと思っており、尋ねたことはない。
いつも活動的な20代後半くらいの装いである。
だが、ＫWさんにはかなり大きいお子さんがおられ
るとも聞いている。
玄関で声がした。
私は急いで戸を開けた。
顔を見た。
あれ？
この人は誰だ？
声は確かにＫWさんである。
だが、顔が違う。
まるで別人である。
顔の輪郭や髪形はＫＷさんだが、それ以外はほぼ
別の人である。
いつものＫWさんよりも30歳以上歳をとっている。
おばさん、というよりおばあさん一歩手前である。
今日は化粧をしていないのだ。
すっぴんだとこうなるのか。
う～ん、これは一種の変装である。
化粧をしないのであるから、逆変装というべきか。
違う人になってしまう。
普通の女性でもこれほどの技能を身につけているの
か。
化粧はマナーだといわれるが、マナーの範疇に入れ
てしまって良いのかと思える。
あぁ、女性はおそろしい。
