不二家憩希のブログ

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納谷悟朗さん、ご逝去。その③

 納谷さんは、アニメの声の出演もされている。
 この分野も外国映画・テレビドラマの吹き替え同
様、歴史の新しい芸能分野である。
 1963年にテレビアニメの第一号である”鉄腕アト
ム”の放送開始からである。
 それ以前から存在したアニメに近い形態のものと
しては、人形劇の声の出演や影絵芝居の声の出
演がある。
 それらの多くは単発作品であり、レギュラー放送
はなかった。
 テレビアニメは吹き替えを得意とする俳優にとって
は、新たな活躍の場であった。
 吹き替えという仕事は、「俳優ならば誰でもできる」
と言うものではないそうだ。
 映像を見ながらセリフを発していく、ということは簡
単ではない。
 演技力があれば何とかこなせる、というほど甘くは
ない。
 映像の口元や演技の展開を見てジャストのタイミン
グでセリフを入れていく。
 これは、難しい仕事である。
 しかも、視聴者は大半が子供である。
 子供はアニメと声が少しでもずれていると気になっ
て仕方がない。
 大人ならばそこは大目に見るのだろうが、子供はそ
うはいかない。
 厳しい視聴者たちにより、吹き替えの技術も高度な
ものが要求されていく。
 納谷さんは、そうした中でも人気の出演者として地
位を築いていった。
 ”宇宙戦艦ヤマト”の沖田艦長役は、納谷さんの代
表作のひとつである。
 沖田艦長は出番も少なく口数が少ない。
 だが、その存在感は圧倒的である。
 貫祿ある大人のリーダーとしての説得力は、納谷さ
んの声があってこそのものだった。
 
 ~続く~