”刑事コロンボ”から学んだことの三つ目は”人か
らどのような対応をされても平静さを保つ”というこ
とである。
コロンボ警部はご存じの通り特異な装いをしてい
る。
雨が殆ど降らないロスアンゼルスで一年中レイン
コートを着ている。
真夏でも着ている。
これだけで十分”変な人”である。
しかも、そのレインコートが日によってはよれよれ
なのである。(コロンボ警部のレインコートは意外な
ことに常によれよれというわけではない)
靴はくるぶしまであるショートブーツで、これも1年
中履いている。
こちらは、汚れてはいないものの茶色の皮がベー
ジュ色に擦れている。
ズボンには折り目がない。
髪型はキャベツのようでもじゃもじゃになっている
ことが多い。
愛車は廃車寸前のようなクルマである。
こんなコロンボ警部に対し、捜査先の人の中には
嫌な目で見る人がいる。
あからさまに軽蔑した態度をとる人もいる。
そんな対応であってもコロンボ警部は、特にムッ
とするわけでもない。
まるで意に介さない。
(馬鹿にしやがって憶えてろ~)と根に持つ様子
など微塵も無い。
いつも通りにこやかに愛想よく話しかける。
余計な反応をせず、淡々と自分がすべきことをこ
なしていく。
私はこれは(なかなか出来ない態度だなぁ)とい
つも思う。
私だったら怒ったり根に持たないはしないものの、
内心カチン!とは来ると思う。
自分の能力を100%発揮するには、冷静さが必
要である。
周囲の状況に影響されない強さが不可欠でもあ
る。
コロンボ警部は、ごく自然にそうした姿勢で取り
組んでいるのである。
さすがである。
~続く~