不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

P・フォーク~コロンボ警部を生み出す。その⑪

 手厚く保護された”ゴジラ”であるが、なぜ、ここまで
抜かり無く法の網で覆うことが出来たのであろうか。
 それは、”ゴジラ”の著作権を持つ原作者が小説家・
漫画家などの個人ではなく、会社組織であるというこ
とにあると思われる。
 ”ゴジラ”は映画会社・東宝の社員の田中友幸氏が
発案した映画の企画案からスタートしている。(以下敬称略)
 その企画案を元に大勢の東宝の社員らによって作り
上げれたのである。
 過去に香山滋の小説が原作である、とされたことも
あったが、その小説も田中がストーリーを香山に話し
シナリオ風の小説の形にしてもらっただけのものであ
る。
 しかも、その時点では、ゴジラという名称もゴジラ
造形すら出来上がっていなかった。
 恐竜の様な形ということすら定まっていなかった。
 鯨の化け物にしよう、大蛸はどうか、という意見も出
た。
 ただ”巨大な怪物”というだけでそれがどのような容
姿をしているのかも明らかにはなっていなかった。
 企画が進行し、絵コンテが描かれ、ぬいぐるみが作
られていく過程を経て、少しずつ私たちが今日知る”ゴ
ジラ”の形になっていったのである。
 今日では研究が進み、誰がどの部分のアイディア
を出したのかなどといった詳細も語られるようになっ
てきている。
 だが、それらもあくまで部分であり、ゴジラゴジラ
として決定つけるようなものではない。
 ”ゴジラ”は映画会社・東宝の社員による集団制作
物なのである。
 したがって 「この人が”ゴジラ”の生みの親です!」
という人は存在しないのである。
 東宝という法人が生んだと言えよう。
 そのため、東宝は会社の財産として”ゴジラ”を大
切にしており、法的処置も万全に行われているのであ
る。
 これが、個人の作家や漫画家だったら、ここまでは
手は尽くせないだろう。
 法律関係の諸々のことは、時間、経費、手間がかか
り、個人事務所では対処しきれない。
 やって出来ないことはないが、普通はやらないことが
多い。
 文字通り巨大な存在である”ゴジラ”にとっては、東
宝が生みの親であったことは幸運なことだと思う。
 
 ~続く~