不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その⑫

 1962年1月16日、フォークは自身のキャリアにお
いて重要なドラマに出演する。
 ”The Dick Powell Show ディック・パウエル・ショ
ー”内の”The price of Tmatoes トマトの値段"で
ある。
 ディック・パウエル・ショーとは、1話完結・非連続
のドラマ枠で、毎週異なるドラマが放送されるという
番組である。
 当時は、こういう番組枠が実に多かったようである。
 ディック・パウエル(1904–1963) は、1930年代に
ミュージカル映画を中心に活躍したスターである。
 後にテレビに活動の場を移し探偵役などでドラマ
出演をした。
 その後、映画監督、プロデューサーに転身し、いく
つもの作品に携わった。
 ディック・パウエル・ショーは、文字通りパウエルが
作った番組で、時にはパウエルも俳優として出演し
ていた。
 出演した俳優は、デヴィッド・ニーブン、ミッキー・
数多い。
 この番組は、実に質が高く、パウエルが突如亡く
なっていなければ、もっと長く続いていたものと思わ
れる。
 フォークが出演した”トマトの値段”は、トマトを運ぶ
トラック運転手の誠実な奮闘を描いた作品である。
 運転手フレスコは、他の運輸会社のトラックよりも
早く荷のトマトを届けることに情熱を燃やしていた。
 早く運ばないと、ライバル会社に価格競争で負け
てしまうからだ。
 負けず嫌いで一途な男フレスコは、いつものように
港でトマトを受け取ると、田舎道を急いだ。
 その途中、フレスコは道路脇で産気づいている妊
婦を見つける。
 見て見ぬふりのできない男フレスコは、その妊婦
をトラックに乗せ産科病院に連れて行こうとする。
 だが、いくらトラックを飛ばしても、病院は見つから
ない。
 それに、モタモタしているとライバルの運輸会社に
先を越されてしまう。
 焦るフレスコだったが、何とか病院を探し出し、妊
婦を送り届けた。
 だが、ライバル会社は既に荷を運び終わっている
かもしれない。
 どうなる?フレスコ・・・。
 このドラマでフォークは、主役のフレスコを役を演じた。
 フォークにしては珍しく犯罪ドラマでなく、しかも犯
人役・悪党役でもなかった。
 ドラマ自体が、ヒューマンドラマであり、フォークの
役どころも熱血漢の気のいい男である。
 これは、フォークにとっては異例である。
 この”トマトの値段”の演技により、フォークはエミー
賞主演男優賞にノミネートされ見事受賞した。
 フォーク初の大きな賞の受賞である。
 後年フォークが、コロンボで大スターになった後でも、
この”トマトの値段”のエピソードを尋ねられると嬉しそ
うに語っている。
 ドラマの舞台がフォークの地元ニューヨーク郊外であ
り、フォークのお国言葉であるブルックリン訛りの役柄
を見事に演じ高評価されたことも大きかったものと思わ
れる。
 フォーク自身も、コロンボを除けば、この作品が彼の
代表作の一つと考えていたようである。
 このドラマでは、画期的な試みもされている。
 夜間撮影用のレンズがテレビにおいて初めて使用さ
れているのだ。
 この当時は、夜の情景は、レンズにフィルターを付け
て昼に撮影していたのである。
 このドラマは、1980年代になってから日本の”日曜
洋画劇場”でも放送されたことがある。
 私は、その放送を見ていたのだが、あまりに真面目
な内容なので驚いた記憶がある。
 フォークに対してはおとぼけ風のコロンボのイメージ
しかなかったので、新鮮でもあった。
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 ~続く~