いつもお邪魔しているサイトで春日八郎の”お
富さん”が紹介されていた。
この曲はある世代以上の方ならどなたでも知
っている国民的大ヒット曲である。
私はこの曲でも歌詞を勘違いしていた。
この曲は、こう始まる。
「♪いきなくろべぇ、みこしのまつに♪」
そして一番の最後はこう終わる。
「♪エーサオー げんやだな♪」
私はこの歌詞を、こうだと思っていた。
「♪粋な黒ベエ、神輿の松に♪」
黒ベエというのは、よくある愛称・ニックネーム
のことだろう。
黒田さんや黒川さんのことを、そう呼んだりする。
あるいは、色黒の人やペットの動物を黒ベエと
呼ぶこともある。
藤子不二雄にも”ジャングル黒べエ”という作品
もある。
「粋な黒ベエ」とは、粋な黒ベエさんのことだろう
な、と納得していた。
次の「みこしのまつ」は「神輿の松」だと思って
いた。
神輿の松とは、どう意味かというと、御神輿なの
で当然木製である。
きっと素材に松の木が使われていたのだろう。
それを歌詞にしたに違いない。
または、御神輿に松の絵や装飾が施されていて、
それを歌ったのだろう。
私はそう思っていた。
それ以外は、想像もつかなかった。
「でも、それでは歌の意味が訳がわからないので
は?」と思われるかもしれない。
だが、歌の歌詞で統一性のない言葉が連ねられ
ることはよくあることである。
私はこの歌もそうした歌のひとつだと思っていた。
何故そう思っていたかというと、歌詞の最後にそ
の理由がある。
「♪エーサオー げんやだな♪」
もうこれは、何が何だかわからない。
げんやだな?
原野だな、か?
源也という人の名前のことか?
お富さんに源也なら時代的に合いそうだ。
それでも最後にいきなり初登場の人名が出てく
るのも、ちょっと不自然である。
「♪エーサオー」と掛け声からはじまっているので、
「げんやだな」も、掛け声の一種かもしれない。
春日八郎も「げんやだなぁ!」と歌っているように
聞こえる。
東京には「げんやだなぁ!」という掛け声があるの
だろうか?
う~ん、どうなんだろう。
わけがわからない。
私は、長いことこの部分も謎だった。
この歌詞の誤解が解けたのは、私が30歳をとう
に過ぎた頃である。
ラジオでこの曲が紹介される際に、番組の出演
者が「最近、黒塀ってすっかり見なくなりましたねぇ」
と言ったのだ。
「粋な黒ベエ」とは「粋な黒塀」だったのか。
そして「神輿の松」は「見越しの松」といこともその
時わかった。
なぁんだ、そう言うことだったのか!
しかし、「げんやだな」というのはどういう意味か、
その後もわからなかった。
その意味が判明したのは、今からほんの1時間ほ
ど前である。
このブログ記事を記すにあたり、ネットで調べてよ
うやくわかったのだ。
「げんやだな」とは「玄治店」と書き、東京の日本橋
界隈の古くからの地名もしくは通りの俗称なのだそ
うだ。
なるほど、何となく意味がわかりはじめた。
こうして私の無知は一つずつ解明されいていくので
あった。