少し前のことだが、市内に住むある方のブログ
を見ていたら「今年はセミの鳴き初めが遅いので
は?」という記事が載っていた。
それによると、今年は全国的にセミが鳴くのが
遅い、という声がネット上で多いらしい。
その理由として「これは大震災の予兆では?」
られているそうだ。
ははぁ~如何にもネット上で広まりそうな話であ
る。
これに対し専門家の意見も載っていた。
昆虫学の紙谷聡志准教授(九州大学)によると、
セミは、出てくる年の春から梅雨にかけての気温が
なのだそうだ。
今年は3~4月が寒く、出てくるのが遅れている、
とのことだ。
ちなみに直前に温度が上がったから、それに合わ
せて時期が早まるわけではないそうだ。
震災との関連については動物生理学の沼田英治
教授(京都大大学院)は「阪神大震災前年(94年)の
夏はセミが静かでした。関係がないと断言はできない
ものの、まずないと思っていいでしょう」「虫が地震を
1年前から察知して、というのはまず考えにくい」コメン
トとしている。放射能に関しては、「DNAに作用するの
で長い目で見たら何かしらあるかもしれませんがセミ
がいなくなるようなことはないでしょう」とのことだ。
さすがに研究者だけあって、分析が冷静である。
もしセミに予知能力があるとしたら、とっくの昔にご
先祖様たちはそれに気づいていた筈である。
時代でも起きてきたからだ。
だが、なかにはそうした話を信じてしまう人もいる。
こういうネット発のおかしな話は、よく発生するようだ。
私は、これを「ネット迷信」と名付けた。
ネット迷信は伝播力がきわめて強いので、気をつけ
る必要がある。
私たちの周囲に広がる愚かさの海は、見た目は普
通の色をしているが、その水はとびきり苦いのである。