私は、便利屋に電話してみることにした。
今まで便利屋を利用したことは無い。
マスメディアでは見聞きするものの、自分
が必要としたことがなかったからだ。
それに、私の周辺の人達も便利屋を使っ
たことがあると言う話は聞いたことが無かっ
た。
私は、電話口に出た担当者に依頼事項を
話した。
マッサージチェアのごく短距離の運搬であ
ること、その運搬距離も全部で6㍍ほどであ
ること、マッサジチェアは旧式なので60キロ
程で軽いこと、などを、説明した。
担当者はそれを聞き終わるとこう言った。
「それでは、料金は一万円になりますね」
一万円!
それは高いなぁ。
5分もかからない仕事ですよ、と私は言った。
「そうですが、2人を出すとなると、最低でも1
万円からなんです」
うわぁ~、高過ぎる。これはぼったくりじゃな
いか!私はそう思った。
便利屋の料金についてはいろいろとご意見
もあるとは思う。
だが、こんな簡単な仕事で1万円も要求する
とは、困っている人に付け込んだ料金設定で
はないか?
何が便利なものか!
便利なのは、簡単に料金をふっかける便利屋
の方だ。
私は、そう思ったが口には出さず、ソフトに電
話を締めくくって受話器を置いた。
いくらなんでも、こんなことに1万円は出せない
な。
私は再び考えるのだった。
~続く~