不二家憩希のブログ

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班長慰労会に出席した。その⑧

 広間にはコの字型にお膳が並べられている。
 畳敷きの間に黒いお膳である。
 私は昔はこういうスタイルの宴会がどうも
好きになれなかった。
 宴会となると酒は付き物である。
 私自身は普段は一滴も飲まない。
 だが、こうした宴会の時は少しだけ飲む。
 会費に酒代として計上されているので、そ
の分は取り返してやろう、といういじましい
考えが多少あるからだ。
 と言っても500mlも飲めば多い方で、大して
飲みはしない。
 私がそれなりにビールなどを飲んでいると、
お酌をして回ってこられる方がおられる。
 私は、その応対がどうも面倒なのだ。
 酔っ払っているのに、まともな対応など出
来っこない。
 だが、それなりに態度において礼を尽くさ
ないと失礼になってしまう。
 酒を飲むか、挨拶をするか、どちらか片方
にしてくれ!と言いたくなってしまうのだ。
「何だ、考えがお子様だなぁ」と思われるか
もしれない。
 その通りである。
 私は肉体も戸籍も十分に大人ではあるが、
中身は子供なのだ。
 これがテーブル形式の洋風の宴会だと、ビ
ールなどを注ぎにに来る人が格段に減る。
 私にとっては、洋風宴会の方が助かるのだ。
 私が畳の間での宴会があまり好きではない
理由はもう一つある。
 多くの日本人は畳の上での宴会では、度を
過ぎてフランクになってしまうことが多い、
ということである。
 畳の上で酒が入ると人が変ってしまう、と
いうのは日本人としての習性なのかもしれな
い。
 お互いの親睦を深める、という趣旨では結
構なことかもしれない。
 だが、度を過ぎた態度を平気で取る方もお
られる。
 私はそんな人を見ると「この人は酒の力を
借りないと、コミュニケーションが取れない
のかな?」と思ってしまうのだ。

 しかし、一々そんなことを言ってもいられ
ない。
 私は自分の席を探すことにした。

 ~続く~