町内会の慰労会では、普通の宴会とは違い
皆さん節度を持った態度を取っておられるよ
うだ。
ご近所さんばかりの場で失態を演じてしま
っては、後々まで語り草になってしまうから
だろう。
食事もデザートとなり、会も終わりに近付
いているらしい。
先程までお酌をして回っていた役員達も自
分の席に戻っておられる。
皆がその空気を察して話を止めた。
そして区長さんが立ち上がり、閉会の辞を
述べた。
皆さんが立ち上がり、帰り支度を始めた。
役員さんたちは、これからまだ２次会に行
くようだ。
私は、宴会場を出て階段を降りて行った。
階段を下りたところで、店の女将が待って
いて一人一人に挨拶をしている。
こんな風に見送られると何か照れくさい。
しかも今回は町内会の招待なので尚更であ
る。
私はウナギの寝床のような店舗内の一階通
路を歩いて行く。
通路右には厨房が見える。
ここで作って２階に運んでいたのだ。
通路を抜けるとカウンターとテーブルの並
んだ一階フロアに出た。
カウンターの中では店主が立っていて、こ
こでも帰るお客に挨拶をしている。
ご丁寧にどうも。
自腹でなくてすみません。
私は、自動ドアから外へ出た。
そして真っ暗になった夜道を歩いて帰った。
