不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

班長慰労会に出席した。その⑨

 私はコの字に並べられたお膳の中から自分
の席を探した。
 今回も席には班の番号が書かれた紙が置か
れていた。
 班の順番に並んで座るのだ。
 そうすることで皆が「あぁ、あの人は○班
なんだな」とわかるようにしているのだろう。
 また、自分の好みで席を決めると仲良しさ
ん同士で固まってしまい、何かと不都合も出
て来るからだろう
 私はⅩ班である。
 その横はY班ということになる。
 このY班の今年の班長のMさんは、以前私
の家の庭から勝手にアロエを持っていった初老のお嬢さん
である。
 つまり、今年度の町内会の会合では、この
初老のお嬢さんといつも隣り合わせだったの
だ。
 その昔のお子様の私だったら、隣り合わせ
なんて嫌なこった!と思ったことだろう。
 だが私もそれなりに年をとって成長したら
しく、一年間何とか我慢出来たのだった。
 それでも、嫌なことはあった。
 それは毎回、会合では私は隣の席のこの初
老のお嬢さんのきつい香水らしき臭いをかが
なければならない、ということである。
 私は、この苦行にじっと耐えてきたのだ。
 本人はまだ十分若いつもりのようだが、実
際にはそうでも無い。
 年相応に細くなってきている髪を肩まで伸
ばしているのは、痛々しいだけである。
 人が自らのことをどう捉えようと、完全に
自由ではあるが、時には周囲の反応も考えた
方が良いのではと思う。
 私は自分の席に座り、予め配られていた2
枚のプリントを読むことにした。

 ~続く~