TEさんは、いつも通りの態度だった。
「どうぞ、そちらへ」
私は言葉に従って部屋に入った。
和室の6畳間の襖が外され二間ぶち抜きである。
家具・家財道具類が何もない。
お通夜のためにどこかへ運び出されたのか?
私は床を見てみる。
床には毛足の長いカーペットが敷かれている。
家具が置いてあったのなら日焼けによる変色や
跡が残っているはずである。
だが、見たところそれらの形跡が一切ない。
このお宅では普段からこの状態で部屋を使って
おられるのか?
どうもそんな感じである。
部屋に沿った窓際の廊下にもカーペットが敷か
れている。
そのため6畳間がより広くなっている。
(6畳+廊下)×2である。
しかも家具類は一切無い。
間続きにある玄関ホールにも人は入れられる。
これで結構なスペースが確保できる。
これなら、ご自宅でお通夜を行おうという気にもな
るだろう。
~続く~