不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

町内会の役員会に出た。その⑧

 来年度の区長は、町内会幹部に一任する、
ということで会議の了承は得られた。
 つまり、これは幹部が内々に候補者を選出、
打診し説得する、ということである。
 これは面倒な仕事でもある。
 だが、実際にはこの時期は既に来年度の候
補者は事実上決定している。
 役員会の了承以前に候補者は決まっている
のだ。
 何だ、それじゃ、出来レースじゃないか、
と言われるかもしれない。
 だが、面倒な町内会をスムースに運営して
いくためには、それくらいの根回しが必要な
のである。
 こうしたことは、今回の役員会に出席した
班長さんは皆さんご存知で、知らなかったの
は私くらいのものだと思う。
 幹部一任の了承後に、70代前半くらいの
男性の班長が発言を求めた。
「もう、区長の候補者は決まっているんでし
ょう?ちょっと教えてよ」
 その班長は方言混じりにそう言った。
 この場面で方言を使うということは「本音
を話せよ」という強いニュアンスが含まれて
いる。
 特定のコミュニティーにおける方言は、意
思疎通の重要かつ強力なツールなのである。
 なお、ここでは地域の特定を避けるために
標準語に翻訳して記している。
 当ブログはあまりに細かく記しているので、
地域が特定される表現は危険なのだ。
 そう言われた区長は、口ごもった。
 そこで別の幹部がこう言った。
「ですから、それは幹部一任ということで・・・。」
 幹部は即答を避けた。
 しかしそうは言っても、この幹部の答えが
建前上のものであることは皆さんわかりきっ
ている。
 70代くらいの班長がもう同じことを一度
尋ねると、区長はこう答えた。
「実は○山△男さんに内々に打診しています」
 この区長の答えを聞くと、皆から「おぉ~」
と低い声が漏れた。
 そして皆が頷いている。
 私は知らないのだが、どうやら○山△男さ
んは適任者のようだ。
 区長はそう答えると、閉式の挨拶を始めた。

 ~続く~