不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

住めば都・山間部編 その③

 お茶屋さんのおばさんは、山のてっぺんに
住んでいる。
 お茶畑も製茶工場も山の上の方にあり、日
常は山に囲まれて生活している。
 そんなおばさんが街を車で走っている時、
催眠商法の会場を見つけたのだ。
 これが噂に聞く催眠商法か!
 おばさんは嬉しくなってしまったそうだ。
 おばさんは、以前から催眠商法の説明会に
出てみたくて仕方ない。
 しかし催眠商法は後ろめたいビジネスなの
で、尻尾を掴まれたくはない。
 それで1週間ほど説明会を開催するとすぐ
に会場を畳んで何処かへ行ってしまう。
 その後しばらくしてほとぼりが冷めてから
別の場所で説明会を開催する。
 つまり催眠商法はどこでやっているのか、
わからない。
 おばさんは今回偶然催眠商法の会場を見つ
けたので迷わず会場に入ったそうだ。
 この機会を逃せば次に何時どこで催眠商法
に出会えるかわからないからだ。
 説明会の会場は、どの催眠商法と同様に満
員で熱気に溢れていた。
 ほほぉ~、これが催眠商法か。
 粗品が配られる。
 司会者と参加者との応答がある。
 新聞や雑誌で読んだのと同じだな、と思っ
たそうだ。 
 こうしたことが連日繰り返されて、参加者
は催眠にかかってしまっていく。
 だが、残念なことにおばさんが参加した日
は、説明会の最終日だった。
 そのおばさんに、催眠商法の営業マンが声
をかけてきたそうだ。 
 営業マンは、催眠にかかっていると思って
いるから、親しげな感じで話しかけてきた。
 話が進むうちに。その営業マンは「おばさ
んに家に行っても良いか?」と言い出したの
だそうだ。
 餌を撒いたカモを放っておくわけがない。
 家にまで行って上がりこんでセールスをす
るつもりらしい。
 高額商品を売りつけようというわけである。

 ~続く~