医院に町内会費を集めに行った。その②

　私はいわゆる金持ちには冷たい。
　もっとも冷たいといっても、こちらが一方
的に冷たくしているだけで、向こうはこちら
を見下ろしているかもしれないのでそれなり
にバランスが取れているかもしれない。
　では何をもって金持ちと見なしているかと
いうと、高級輸入車と一部の国産高級車に乗
っている人ということになる。
　輸入車だとベンツ、ＢＭＷ、ボルボなど、
国産だとレクサス、フーガ、ＧＴＲなどであ
る。
　フォルクスワーゲンは入らない。
　クラウンは微妙である。
　うぁ～、何だか乱暴な定義だな、と言われ
そうだが、これはあくまで私の定義なのでご
勘弁頂きたい。
　Ａ医院の医師はボルボに乗っている。
　ボルボのオーナーなら、私の金持ち認定は
合格である。
　私はボルボに乗っているような人間が、町
内会費を分割払いにするな、とか思ってしま
うのだ。
「分割払いにして」と言われたら規則上「出
来ません」とは言えない。
　それで前回の３月の時には、半年分しかも
らえなかったのだ。
　私はその時「よ～し、９月に入ったらすぐ
に取りに行ってやる」と集金袋に誓ったので
ある。
　
　ここの医院はジャングル・ドクター（ヤブ
より酷いという意味）であるだけでなく、他
にもけしからん点があるのだが、それを書く
のはまたの機会にでもと考えている。
　医院に入ると、何と患者が何人もいた。
　見ると、ここら近所の方ではなさそうだ。
　あ～ぁ、気の毒に、この医院のヤブさ加減
を知らないようだ。
　命を失ってからでは遅いとも思うのだが、
かと言って「ここは止めといた方が良い」と
一々声をかけるわけにもいかない。
　私は無知な方々を見殺しにしてしまったこ
とになるのかもしれない。
　私は良心の呵責に耐えながら、受付の女性
に声をかけた。

　～続く～