区長さんが来られた。

　日曜の夜、テレビを見ているとお客さんが来
たようだ。
　今期の区長さんと役員さんである。
　と言っても向こう様がそう名乗って頂いた
のでわかったのであって、言われなければ誰だ
かわからない。
　区長とは町内を約10に分割した単位の長であ
り、この役職は毎年正月に行われる選挙で選ば
れている。
　何故来期の区長を正月に選ぶのか、よくわか
らないが昔からそれが慣例となっているようだ。
　区長職は、本人がやりたくてやっておられる
場合が多いらしい。
　古くから当地に住んでおられ、青年団活動な
どを熱心に取り組んでこられた方がなっている。
　だが、多くの住民は区長などやりたくない、
と思っている。
　それはやはり、いろいろと面倒だからである。
　圧倒的にやりたくない人ばかりなので、「自
分がやります」と立候補すれば、ほぼ自動的に
区長になれるのだ。
　ダチョウ倶楽部の「どうぞ、どうぞ」のギャ
グにちょっと似ている。

　区長さんは、挨拶の後1通の封筒を私に手渡し
た。
　それは、来週に行われる新年度の役員の顔合
わせの会の案内状であった。
　時候の挨拶に始まる丁寧にワープロ印字され
た書状である。
　私などは口頭で申し伝えれば良いのでは？と
思ってしまうのだが、こうした形式をきっちり
踏むのもまたこの町内の慣例のようだ。
　私も班長なので出席しなければならない。
　私はこういう町内の会合は得意ではない。
　必要以上に気を使ってしまうのだ。
　気を使わなければ良いのだが、どうしても
使ってしまう。
　そのため疲れてしまうのだ。
　私が気疲れるするなんて、私を知る人からす
ると信じられないことのように思うかもしれな
いが、本当にそうなのだから仕方が無い。
　だが、この会合で今年度の業務内容の伝達な
どがあるので出席しなければならない。
　町内会は私にってはちょっとした苦行である。