不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

お隣さんが救急車で運ばれて。

 私が一旦帰宅した時のことである。
 私は、この日もう一つの用事があるので、
すぐにまた出かけなければならなかった。
 家に近づくとお隣のKさんの家の前で、K
さんの妹さんが立っているのが見えた。
 Kさん夫婦は、70代である。妹さんも若く
は見えるが70歳は超えている。
 家に入ろうとする私は妹さんに軽く会釈し
た。
 そして、玄関の鍵を開けようとした時、救
急車がサイレンを鳴らして走ってきた。
 救急車は、Kさんの家の前で止まった。
 妹さんは救急車を待っていたのだ。
 何事か。
 私は家には入らずに様子を見ていた。
 二人の救急隊員がストレッチャーを降ろし
た。
 すると、もう片方のお隣のNさんも家から
出てきた。何故か犬を抱えている。
「どうしたの?」と私は尋ねられたが私もわ
からない。
 ご近所のTさんも出てこられた。
 Kさんのおじさんかおばさんか。
 Nさんが様子を伺いに行った。
 どうも、おばさんの方らしい。
 このお宅は、玄関までが洒落た階段になっ
ている、そのため、ストレッチャーが運び入
れられない。
 さて、こういう時、私はどうすれば良いの
だろうか。
 見て見ぬ振りして、家に入ってしまうべき
か。
 あるいは、見ていることの方がよろしくな
いのか。
 力を貸すといっても二人の救急隊員は、そ
れぞれ180㌢以上はある大男である。仕事柄、
そういった体格の人を配置しているのだろう。
 私の出る幕ではない。
 私は、突っ立っているのもどうかと思った
ので自分の家の庭の雑草を抜きながら様子を
見ることにした。
 救急車が到着して5分ほど経ったが、Kさ
ん宅から病人を運び出す気配は無い。
 ストレッチャーは脚も伸ばさず置いたまま
である。
 8分ほどして、Kさんのおばさんが救急隊員
に抱きかかえられて出て来た。
 顔色は私の方向からはよく見えない。
 続いて、おじさんが家から出て来た。
 おばさんはストレッチャーに寝かされ救急
車に載せられた。
 おじさんが付き添いで救急車に同乗するよ
うだ。
 二人が乗り込んだのだが、救急車はまだ発
進しない。
 受け入れ先を探しているのだろうか?
 それから2分ほどして救急車はようやく走り
出した。
 随分、のんびりしているな。
 こんな調子なら容態はそれほど悪くは無い
のだろうか。
 その後、Kさんの妹さんは、自転車に乗っ
て帰ってしまった。
 ということは、やはり、悪くは無いのか。
 私は、用事があったので、それからすぐに
家を出た。
 
 しかし、その夜、Kさん宅には誰も帰って
来なかったようだ。
 やはり悪いのか。
 こういう時にはどうすれば良いのだろうか。