不二家憩希のブログ

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シンシア・レノンの著書、ついに刊行

 シンシア・レノン著「ジョン・レノンに恋して」河出書房新社刊、を
読んだ。
 シンシアはジョン・レノンの最初の奥さんだった人で、オノ・ヨーコ
に、追い出された人である。
 シンシアには、今まで多くの執筆依頼がきていたと思われるが、今回
ようやく、刊行の運びとなった。
 ビートルズのコアなファンには、お勧めな本である。
 私は、ビートルズは、大してファンではないが、ビートルズに関して
書かれた本は、殆ど読んでいる。ただし、日本語訳されたものだけでは
あるが。
 その中でも、この本は出色の仕上がりとなっている。
 衝撃の新事実!、というものは無いのだが、巷間言われてきたことの
裏づけになるような事実や証言は満載なのである。
 ジョンもジョージもブライアン・エプスタインも亡き今、シンシアはリ
ヴァプール時代から成功を収めるまでのビートルズの最も近くにいた数少
ない人間である。
 ビートルズの傍で働いていた人の手記は、今後も発表されることもある
だろうが、彼らはやはり被雇用者であり、当事者としての視点としては、
少々弱いと言わざるを得ない。強気なことを書いても、どうしても説得力
に欠けてしまうのである。
 シンシアは、今となってはポールにもオノ・ヨーコにも対等の目線で話
せる、世界でも数少ない一人である。
 良く知られている数々のエピソードの本当のニュアンスが、脚色無く書
かれている。多少、表現が稚拙な部分もあるが、その点が、この本がゴー
スト・ライターによる作品ではなく、シンシア本人のペンによるものであ
ることを、知らしめている。
 今現在、オノ・ヨーコのことを、この本に書かれているような形容で表現
できるガッツのある作家、ライターが一人でもいるだろうか?
 少なくとも、日本では、オノ・ヨーコにはマスメディアも音楽界も皆、及
び腰のもみ手対応ばかりである。そうすることが、大人の対応、ということ
なのだろうが、情けないな、本当に。
 オノ・ヨーコについては、また機会があれば書くかもしれないが、今日は
これくらいにしておこう。
 それにしても、ポール・マッカートニーは思っていた以上に、良い人なの
だということが、この本を読んで分かった。ポールのしたことは、これがな
かなか出来ないことなのである。
 リンゴ・スターは、どの本でも書かれているように、この本でも良い人なの
であった。
 
 この本が、こうして刊行された、ということは、シンシアがようやく幸せを
つかんだからなのだと思う。