たまに行くスーパーの「本日のお買い得品」を買って家
に帰って来た。
晴天の五月晴れである。
このまま家に入ってしまうのはもったいないな。
私は買ってきた品を置くと、再び出かけることにした。
向かう先は市内の稲荷神社である。
市内と言っても数年前の町村合併で当市になったが、地
元民の感覚としては未だに「隣の町」である。
その稲荷神社は、当地の有力寺社の一つである。
気が向けば参拝するが、数年に一回程度である。
前回は3~4年前だっただろうか。
所在地が私の普段の行動範囲とは反対方向である。
私は自転車を走らせる。
普段は通らない方向の道である。
距離的には近くなのに、別の土地に来たような感覚であ
る。
数分走ると大鳥居が見えてきた。
朱色は遠目にも良く目立つ。
建立に一億円かかったそうだ。
もちろん寄進である。
へぇ~、そんなにご利益があるのか。
私は自転車を停めて鳥居をくぐる。
神聖な空気はあまり感じられないなぁ。
否、これがここの空気なのか。
おっと、偉そうなことを言っていけないな。
何しろ1億円の鳥居である。
私は先に奥の院にお参りすることにした。
赤い鳥居がトンネル状に連なっている。
それぞれに鳥居に寄進者の名前が入っている。
地元ではそこそこ有名な会社の鳥居がいくつもあった。
途中に社がある。
そこには大黒天が祀ってあった。
大黒天は仏教である。
ったので、不自然ではない。
奥の院を参拝し違うルート辿って戻る。
こちらも鳥居がトンネル状になっている。
そのため日が差さず少し暗い感じなる。
鳥居のトンネルを抜けて本殿前に出ると、一気に明るくなる。
他の参拝客が数組いる。
若い男女が並んで拝礼をしている。
しきたりにのっとった正しい拝礼のようだ。
私は基本的に「なんちゃって参拝客」で作法はテキトーであ
る。
数年ぶりの稲荷神社参拝去ったが、宗教的な空気はあまり
感じなかった。
私の感覚が鈍いのか、たまたまそう感じただけなのか。
ここの稲荷神社は、そういうところのようだ。
私は自転車に乗り、次の行き先を考えた。