不二家憩希のブログ

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町内会の初会合に行った。その㉑

 会費値上げに反対する声があがるなか、会計は説明
を続ける。
 淡々とした口調である。
 会計のK君は、職業柄こうした状況には慣れっこなの
だろう。
 普段からこうした場に対応する呼吸のようなものを身
に付けているようだ。
 対抗するわけではないが、と言って対する声を認めて
いるわけでもない。
 音量は同じままで落ち着いて話し続ける。
 反対の声も荒立つことはない。
 「聞こえることを意図した独り言」なので物言いは荒っ
ぽくないのだ。
 反対の声と説明の声がぶつかるでもない。
 会場の天井辺りで少し交差して消えていく。
 あるいは参加者たちの鼓膜に吸収されていくようだ。
 この場面で反対の声を制止しなかった町内三役の対
応は、評価されても良いと思う。 
 この場面で無理に押さえつけると良い方向には動か
ない。
 「私たちの声を聞いてくれない!」とエキサイトしてしま
う。
 自らのエキサイトした心情に飲み込まれ一層興奮して
しまう。
 理性は席を譲り熱狂が反対の心情を後押ししてしまう。
 不満は怒りに変わっていく。
 そうなると事態は面倒なことになる。
 収拾に手間取る。
 丸く納めるのは困難になる。
 反対の声を言いたいだけ言わせるのも議事進行には
必要な場合がある。
 反対を表明したKASさんとMさんは、少しは気が済ん
だかもしれない。
 後日「私は会合の時にみんなの前で文句を言ってや
った!」と近隣のお仲間と井戸端会議で披露されるか
もしれない。
 一方的に押さえつけるのは得策ではない。
 また、言いたいことは言ってしまった方が精神衛生
上良い時もある。
 町内の会合では、学ぶことが多い。

 ~続く~