冷たいムードの中、□さんは、拒否し続けた。
会長は少しトーンを変えてこう言った。
冷たく厳しい声である。
「では今年は出せないとしても、それで免除ではあり
ませんよ」
「来年もまた要請がありますから」
「そのあたりのことをわかっています?」
今年免れても義務は来年度にも持ち越されるという
ことである。
「はい、わかっています」
□さんは、意外とはっきりした口調でこう答えた。
ほんとうにわかっているのか?
この場をうまく切り抜けたから、もういいや。
来年は自分は班長ではない。
来年のことはは来年の班長に任せよう。
そう思ってはいないだろうか?
これは邪推だろうか?
世の中にはそうしたけしからん人間もいる。
□さんが棒さんだからと言って、まともな倫理観を持
っているとは限らない。
そもそも断固としてやらない、と態度を崩さない□さ
んの姿勢には疑問符しかつけられない。
今年は例外的にパス、しかし義務は来年度に持ち
越しである。
苦々しい処断ではあるが、会長としてはそうするしか
ないだろう。
他の住民にも迷惑がかかる。
役の持ち回りのサイクルが崩れるからである。
□さんそうしたことを理解しているのか、いないのか。
おかしな人が町内のTERAに来てしまったものである。
~続く~