不二家憩希のブログ

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「未来を走り続けた冨田勲の音世界」を聴いた。

 一昨日の5月13日NHK-FM「未来を走り続けた冨田勲
の音世界」を聞いた。
 これは、先ごろ亡くなった作曲家・シンセサイザー奏者
冨田勲氏の追悼番組である。(以下敬称略)
 作曲家の吉松隆が案内役として、冨田の業績や人柄
を紹介していく。
 2012年に放送された3時間番組「音の魔術師・冨田勲
の音世界」からの音源を引用し、番組は進行する。
 冨田は、世界的に著名な音楽家だった。
 海外では、武満徹と並ぶステイタスがあったようだ。
 最高ランクの評価がされていたその時代のトップという
ことである。
 だが、冨田自身はそうしたことは一切触れず、におわ
せもしない。
 話しぶりを聞いていると、気の良いおじさんという感じ
である。
 偉ぶることもなく、もったいぶることもない。
 拍子抜けするほどである。
 いくつものエピソードが語られた。
 冨田によると、手塚治虫は「重箱の隅をつつくような人」
だったそうだ。
 アニメの「ジャングル大帝」の音楽を冨田は担当した。
 手塚は、細々と注文を出してくる。
 とにかく口を出してくる人だったそうだ。
 主題歌の冒頭で1オクターブの跳躍がある。
 「♪あ~あ~」というおなじみの出だしである。
 手塚は「これでは子供が歌えず売れないからダメだ」と
修正を要求してくる。
 冨田としては音楽上の必然性があるため曲げたくない。
 手塚は変えるように迫ってくる。
 冨田は「ちょっと待ってください」と日延べをする作戦に
出た。
 そのまま締め切りまで変更せず粘った。
 結局そのまま逃げ切り、冨田の希望通りの版が放送さ
れることとなった。
 結果は冨田の読み通り、主題歌は大好評となった。
 手塚は、この件について後になっても一切詫びなかっ
たそうだ。
 まぁ、手塚治虫はそういう人である。