医者に関するボヤキは、まだまだある。
本日取り上げるのも、昨日のH医師である。
H医師は、H医院の当代である。
先代、つまりH医師の父上で、私が子供の頃は先代に
かかっていた。
先代は物腰の柔らかい優しそうな医者だった。
面長で少し低音の声で丁寧に診察してくれた。
先代が亡くなったのは、30年ほど前である。
他の病院の勤務医をしていた当代が後を継いだ。
看護師ら医院のスタッフは、先代の頃の陣容を、その
まま引き継いだ。
当代のH医師は、当時まだキャリアの浅い若い医師だ
った。
診察の際、自分ではよくわからないこと自信が無いこと
があると、ベテラン看護師にこう尋ねるのだった。
「ねぇ、これってどう?」
患者の目の前で看護師に相談するのだ。
看護師は困った様子で応答する。
これが当代のH医院の日常だった。
いくら相手がベテラン看護師であっても、医師が自分で
見立てず看護師の意見を伺うとは。
医師と看護士に挟まれて、漫才・コント状態だった。
多くの患者は呆れていた。
それでも、H医院は潰れていない。
今でも続いている。