不二家憩希のブログ

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ドン・バグレーの「ミス・マイナー」

 私はNHK-FM「世界の快適音楽セレクション」を聴
いていた。
 いつもながら気の利いた選曲で番組は進んでいく。
 次はジャズの曲らしい。
 ベーシストのドン・バグレーの演奏と言ってる。
 ドン・バグレー?
 知らないなぁ。
 最近の人かな?
 演奏が始まった。
 おぉ、これは良いなぁ。
 ベーシストのリーダー作ではあるが、特にベースを強
調してはいない。
 メインはアルトサックスのように聞こえる。
 他にギター、ピアノ、ドラムスという編成である。
 それぞれの奏者が絶妙な演奏を繰り広げていく。
 音色、フレーズとも最高である。
 凄い新人がいるんだな。
 あるいは無名の達人たちか?
 番組中では、特にこの演奏とミュージシャンについて
の解説はされなかった。
 私はネットで調べてみる。
 ドン・バグレーの「ミス・マイナー」という曲である。
 録音は1958年である。
 アルバムのジャケット写真には見覚えがある。
 ベースはバグレーで、アルトサックスがフィル・ウッズだ。
 そりゃ、良いわけだ。
 他にギターがサル・サルバドール、ピアノがエディ・コス
タ、ドラムスがチャーリー・パーシップである。
 サル・サルバドールは、ジャズギター史上屈指のプレイ
ヤーである。
 エディ・コスタは、低音域を中心に展開するアドリブ演奏
で強烈な個性を発揮する名手である。
 チャーリー・パーシップは、当時の売れっ子ドラマーで安
定した演奏をいろいろな盤で聞くことができる。
 強者揃いの布陣である。
 リーダーのバグレーだけが、知名度が低い。
 これは、バグレーをリーダーに据えた実質的にはフィル・
ウッズのリーダー作ではないか。
 こうしたケースは結構ある。
 そして、その多くが名盤になっている。
 リーダーの責任がない分、気楽に演奏ができて良い結
果が残せたのであろうか。
 また良い盤を知ることができた。
 「世界の快適音楽セレクション」は収穫が多い番組である。