リーダーのINさんはメンバーに白の軍手を配り始め
た。
手のひらの部分に黄色の滑り止めの突起が付いて
いる。
「軍手は、返さなくていいです。ジャンバーは、戻っ
てきたら返してください」
へぇ~、貰えるのか。
気前が良いなぁ。
あるいはこれが今日の日当ということなのか。
だが、町内会から何かモノを貰えるということは、ま
ずない。
貰えるとなると、ちょっと嬉しい。
あぁ、私は単純にできている。
私は、その軍手をキャンバーのポケットに折り畳ん
で入れた。
リーダーの説明が始まった。
ごく簡単な確認事項の復唱である。
説明が終わると、現場への移動となる。
作業時刻は午後2時から3時までである。
まだ50分近くある。
現場までは歩いて10分ほどだろう。
私は早速集会所を出た。
ここにいても、いずれ行かねばならない。
他の方々は、どうやって行こうか考えておられるよ
うだった。
湿った空気とここのところの寒の戻りで少し寒い。
小雨が未だ降り続いている。
私は傘を差し歩き始めた。
~続く~