夜8時過ぎ、わが家にどなたかが来られたようだ。
わが家にこの時間に来られるのは、ご近所・町内
会関連の方だろう。
玄関に行く。
町内会の祭典長だ。
先日の集まりで「今回の参加者の皆さんには、私
が戸別にお邪魔して説明に行く」と言っていたのだ。
祭典長が、個々の役目と担当区域を説明するらしい。
いつ来られるのかなぁ、と思っていたところである。
祭典長は、にこやかに挨拶をした。
私も一応にこやかに応じたが、内面はそうでもない。
私はこの歳になってようやく心の内とは正反対の表
情を作ることが出来るようになったのだ。
祭典長二枚とじのプリントを私に手渡した。
一枚は地図で担当区域に赤丸がついている。
「ここで、こうして、ああして・・・」と説明をしてくれる。
私はおとなしく聞いている。
だが、内心では(本当にうまくできるかなぁ)と思って
いる。
どこがわからないのかすらもわかっていない。
問題点すら指摘できないのだ。
説明が終わると祭典長は来たときと同じようににこや
かに帰って行かれた。
あ~あ、私にこんな仕事を任せて良いのかなぁ。
今更断れないしなぁ。
悩ましい春である。