朝5時半過ぎ、私はラジオをNHK-FMに合わせた。
朝5時台は「邦楽のひととき」の時間である。
今日は何か浪曲風の歌と三味線が流れてきた。
「あれ?今日は浪曲の日だったかな?」
浪曲は金曜日の朝のはずである。
よく聞くと浪曲とは違う感じだなぁ。
歌っている内容が明らかに異なっている。
浪曲っぽい湿っぽさが、少しもしない。
これは、何だろう?
三味線が凄いなぁ。
人が話をしているかのような、なめらかなフレージン
グである。
ただ音符を弾いただけでは、こうはならない。
これはかなりの超絶技巧である。
戦前の米国ブルース・ギターでも数人しかいない高
等技能である。
そして歌と寄り添い、絶妙のタイミングで入ってくる。
う~ん、素晴らしい。
これは何なのだろう?
番組の終わりに曲紹介がされた。
これは義太夫だそうだ。
義太夫!
そうか、これが義太夫か。
恥ずかしながら私は日本人でありながら、こうしたこと
にはまるで無知である。
まだまだ私の知らない世界が沢山あるなぁ。
義太夫は内容が湿っぽくなくて良いな。
浪曲はウェット過ぎるのだ。
今朝は良いものを聞いた。
興味深い世界が、この世には待っているようだ。
「一ノ谷嫩軍記」より 組打の段 前半
浄瑠璃・岡田千香子、三味線・鶴澤津賀花
浄瑠璃・岡田千香子、三味線・鶴澤津賀花