ブル廃棄の知らせは、ピーター・フォークを落胆させ
た。
フォークは、”新・刑事コロンボ”でも、あのクルマ
に乗ろうと考えていた。
それは、フォークにとっては当然のことだった。
コロンボ警部が他のクルマに乗るなんて考えられ
ない。
コロンボ警部を構成する最重要アイテムとして、プ
ジョー403コンバーチブルは確固たる地位を築いてい
たのだった。
フェラーリとはまた異なる爆音とも言えるエンジン
音を響かせて、コロンボ警部が走っていく。
欠かせない存在である。
だが、廃棄処分となっていては、どうにもならない。
何しろ元々が古いクルマである。
しかも、高級車でもなんでもない。
そういうクルマは残らないものである。
後々価値が出るなどと考えて保守点検を欠かさず
保管するような人は、まずいない。
普通に探したって、簡単に見つかるものではない。
諦めたそうだ。
コロンボ警部には他のクルマに乗ってもらおうという
案が出された。
だが、そこは製作総指揮がフォークの”新・刑事コロ
ンボ”である。
いろいろと手を尽くしカー・コレクターが大事にして
いた同色・同車種を借りることに成功した。
ルである。
それにしても、本当に持っている人がいたとは、カー・
コレクターの世界は奥が深いものである。
~続く~