不二家憩希のブログ

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フォーク版”刑事コロンボ”の誕生 その32

 ピーター・フォークは、”刑事コロンボ”の制作に当
たり、何から何まで異議を唱えていていたわけでは
ない。
 スタッフのセンスを認めれば、すんなり受けいれ
るのだ。
 放送が進み、コロンボ警部は犬を飼っている、と
いう設定が持ち上がった。
 刑事ドラマの主人公がプライベートでは犬を飼っ
ていても不自然ではない。
 だが、それをわざわざストーリーに持ち込むかと
いえば、意見が分かれるかもしれない。
 殺人犯を追う刑事と愛犬とは、それまでの刑事ド
ラマにはなかった構図ではなかろうか。
 しかし、この試みはあっさりとフォークに了承され
た。
 それは、フォークは自身も大変な愛犬家だったか
らであろう。
 「私は奥さんと愛犬がいれば、それで満足なんで
す」と語っている。
 フォークはプライベートでは、大型犬や中型犬5~
10頭ほどと一緒に暮らしていた。
 その中から新たに子供が産まれれば、その小犬
も飼っていた。
 多頭飼い&二代飼いである。
 大スターならではであるが、犬が好きでなければ
出来ないことである。
 その犬が初登場シーンの撮影の日、スタッフが一
頭のバセットハウンドを連れてきた。
 フォークはその犬を見て、一目で気に入った。
 脚本には「犬」としか書いてない。
 役名も「犬」「うちの犬」である。
 フォークに事前の相談があったわけでもない。
 犬種を選んだのはスタッフである。
 スタッフもあれこれ気をつかい頭をひねって選ん
だに違いない。
 このバセットハウンドは、長年フォークのプライベー
トでの愛犬である、と言われてきたが、どうやらその
説は誤りらしい。
 この説は本放送当時の70年代に流布し定着した
が、誰かの捏造したようだ。
 いずれにしろ、フォークは愛犬家だったこともあり、
フォークと犬とのコンビネーションは作品の名物とな
った。
 
 ~続く~