たり、何から何まで異議を唱えていていたわけでは
ない。
スタッフのセンスを認めれば、すんなり受けいれ
るのだ。
放送が進み、コロンボ警部は犬を飼っている、と
いう設定が持ち上がった。
刑事ドラマの主人公がプライベートでは犬を飼っ
ていても不自然ではない。
だが、それをわざわざストーリーに持ち込むかと
いえば、意見が分かれるかもしれない。
殺人犯を追う刑事と愛犬とは、それまでの刑事ド
ラマにはなかった構図ではなかろうか。
しかし、この試みはあっさりとフォークに了承され
た。
それは、フォークは自身も大変な愛犬家だったか
らであろう。
「私は奥さんと愛犬がいれば、それで満足なんで
す」と語っている。
フォークはプライベートでは、大型犬や中型犬5~
10頭ほどと一緒に暮らしていた。
その中から新たに子供が産まれれば、その小犬
も飼っていた。
多頭飼い&二代飼いである。
大スターならではであるが、犬が好きでなければ
出来ないことである。
その犬が初登場シーンの撮影の日、スタッフが一
頭のバセットハウンドを連れてきた。
フォークはその犬を見て、一目で気に入った。
脚本には「犬」としか書いてない。
役名も「犬」「うちの犬」である。
フォークに事前の相談があったわけでもない。
犬種を選んだのはスタッフである。
スタッフもあれこれ気をつかい頭をひねって選ん
だに違いない。
このバセットハウンドは、長年フォークのプライベー
トでの愛犬である、と言われてきたが、どうやらその
説は誤りらしい。
この説は本放送当時の70年代に流布し定着した
が、誰かの捏造したようだ。
いずれにしろ、フォークは愛犬家だったこともあり、
フォークと犬とのコンビネーションは作品の名物とな
った。
~続く~