不二家憩希のブログ

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P・フォーク~コロンボ警部を生み出す。その⑲

 ”刑事コロンボ”のシリーズ撮影が始まる前のこと
である。
 ピーター・フォークは衣装合わせのためスタッフに
呼ばれた。
 そこには、いろいろ衣装が揃っていた。
 ユニバーサル・スタジオの衣装係であるから、世
界最高水準である。
 だが、フォークはどれを見ても気に入らなかった。
 フォークの感覚によれば「どれも在り来り過ぎた」
のだった。
 そこでフォークは自宅のクローゼットから、スーツ
を持ってきた。
 つまり自前、私物のスーツである。
 それは青に白のストライプが入ったサッカー地の
夏物スーツであった。
 フォークは衣装係に、そのスーツを茶色に染める
ように要請した。
 コロンボ警部のあのスーツは元は青だったのだ。
 青といっても濃い青ではなく、ストライプ入りのサッ
カー地なので、ごく薄い青だったのだろう。
 サッカー地は、麻や絹で織られることもあるが、そ
の多くが綿だそうだ。
 コロンボ警部のあのしゃがんだり、腰を曲げたりす
る動きでも皺があまりよらないところを見ると、おそ
らくコロンボ警部のスーツも綿だと推測される。
 そしてコロンボ警部がシリーズを通して着ていたの
は、そのたった1着のスーツだけである。
 自前のスーツを違う色に染めて役の衣装にするとは、
フォークのセンスには恐れ入る。
 フォークの役作りは、やはり一味違うのである。
イメージ 1
 
 
 
 
 
 1㎜ストライプの青のサッカー生地。
 コロンボ警部のスーツを見ると、染めたとはいえはっき
りとしたストライプが見えるわけではないので、おそらく
こんな感じの生地だったものと思われる。
 
 ~続く~