”刑事コロンボ”の原作である脚本には「トッ
プコート(防寒着)を着ている」とある。
コートは私立探偵や刑事にはお馴染みの服
装である。
ピーター・フォークは、この設定を無視した。
フォークは、「ハイ、そうですか」と脚本の指
示通りに動く俳優ではないのだ。
フォークはコロンボ警部の衣装に防寒着とし
てのコートではなくレインコートを選んだ。
レインコートを着た刑事とは、前代未聞である。
どうしてレインコート?と思ってしまう。
後年インタビューに答えたフォークによると
「雨が殆ど降らないカリフォルニアでレインコート
を着せることにより、コロンボに強い個性を持た
せようとした」のだそうだ。
おぉ~、これぞピーター・フォークの役作りの
見事さである。
カリフォルニアとレインコートという普通ではあ
りえない組み合わせを思いつくとは、ピーター・
フォークのセンスは天才的と言えよう。
また視聴者は「どうしてレインコートを着ている
の?」とコロンボ警部に強い印象を受ける。
「あぁ、あのレインコートの刑事か!」と記憶に
残る。
またフォークは、こうも語っている。
「レインコートを着せることで、コロンボが服装に
頓着しない人間だと言うことを表そうとした」
フォークのこの目論見は大成功したことは、皆さ
んご存じの通りである。
~続く~