不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「あおげば尊し」は米国産。

 卒業式で卒業生が歌う歌として長年受け継がれ
てきた歌「あおげば尊し」は、元々はアメリカの曲
だったことが判明したそうだ。
 そう言えば「あおげば尊し」は作者不詳となってい
る。
 私は子供の頃は「きっと古過ぎて誰が作ったのか
わからなくなってしまったんだろうな」と思っていた。
 それからもう少し大きくなってからは「あまりに有
名な歌なので、『私が作った』と今更名乗り出れな
くなってしまっているのか」と考えていた。
あおげば尊し」の原曲は1871年に米国で出版さ
れた本「THE SONG ECHO」に掲載されている
そうだ。
 曲名は「SONG FOR THE CLOSE OF 
SCHOOL」という。
 これだと「学校閉鎖の歌」「閉校の歌」である。
あおげば尊し」は日本では文部省唱歌として発表
された。
 文部省唱歌は明治政府が西洋音楽の学習のた
めに編纂された。
 当時は近代化=西洋化の時代だったのだ。
 それらの曲は明治政府が作詞家・作曲家に依頼し
作られた。
 だが、そこには今では考えられない事情があった。
 明治政府は作詞家・作曲家に高額の報酬を支払う
代わりに、彼ら作者の名を一切表に出さない、作者
もそれを口外しない、という契約を結ばせた。
 これは「唱歌は明治政府が作った」という体裁をと
るためである。
 当時は著作権という考え方も無かったとはいえ、
これは政府の横暴である。
 おそらく「あおげば尊し」は、作者に依頼したのでは
なく明治政府の役人が米国の歌集から見出し作者に
無断で流用したものと思われる。
蛍の光」はスコットランド民謡、そして「あおげば尊し
は米国歌曲である。
 日本人に最も親しまれてきたこれら2曲が元は英国
と米国の曲というのは面白い。
 明治以来、日本の音楽界がお手本にしてきたドイツ
ではないのだ。
 そしてこれらは、日本語による元祖カバー曲ということ
になるだろう。
 だが、これらの曲は長年歌い継がれてきているため、
今では完全に日本の曲とした馴染んだものとなってし
まっている。
 明治政府の見栄が、これらの曲を「日本産」と強弁し
たのではあるが、今となってはそれも良かったのかも、
と思えるような名旋律である。