CDを買いに行った。その③

　私はそのＣＤショップを出ると次の店に向
かった。
　行き先は、今度もＣＤショップである。
　しかも同じタ○ーレコードである。
　○ワーレコードは店舗によって仕入れの裁
量が任されているのか、店ごとに品揃えが微
妙に違う。
　最初に訪れたＰ店と次に行くＫ店とは、ど
のジャンルも明らかに品揃えが違う。
　８割までは同じでも、残り２割は違うよう
に思う。
　私はこの２割が見たくてＣＤショップのは
しごをするのである。
　せっかく、大きな街に来たのだから他のお
店とかにも行けば良さそうなものだが、私が
行くのは輸入ＣＤショップばかりである。
　てくてく歩いてタワ○レコードのＫ店に着
いた。
　エレベーターに乗ってタ○ーレコードのフ
ロアに直行する。
　まずは、ジャズから見ていく。
　今回もＡからＺまで一人ずつ見ていく。
　次に、ワゴンセールを見てみる。
　オール５０％引きである。
　この値引率はＰ店と同じである。
　見ると、ジョージ・ベンソンの「ブリージ
ン」の特別盤があるではないか。
　これは正規の「ブリージン」に未発表曲が
追加収録された盤である。
　数年前に日本盤でも発売されていたが、現
在は廃盤である。
　米国盤も廃盤で現在はネットストアのカタ
ログから外されている。
　私はこの盤を探していたのだ。
　日本盤で売られていた時に「いつでも買え
るだろう」と思い買わずにいたら、知らない
うち廃盤になってしまっていたのだ。
「お～、これは嬉しい！」
　ＣＤは一度廃盤になってしまうと、なかな
か手に入れにくい。
　中古ＣＤショップを探す、という手もある
のかもしれない。
　だが、良い盤は手放す人も少なく、それら
が市場に出ることは極めて少ないのだ。
　そんな盤を発見出来たのだ。
　しかも５０％引きである。
　これはラッキーである。
　電車に揺られてやって来た甲斐があったと
いうものだ。
　今回は、このジョージ・ベンソンの「ブリ
ージン」の特別盤が最大の収穫だった。
　今年もいろいろとあったけれど、これで帳
消しである。
　ＣＤ１枚で気分が変るのだから私も安上が
りである。
　私にとって今回、目玉となるのはこの１枚
だけだったが、それでも十分大漁と言える。

　大漁の日の帰り道は、足取りも軽かった。