不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

お通夜に行ってきた。

 今日はご近所のNさんの御通夜である。
 私は、余程の関係でない限り告別式には出
ない。
 このNさんは私の両親が仲良くしていたご
近所の方なのであるが、私とは面識が無い。
 だが、両親の葬式の時に来ていただいてい
るので私も行くことになる。
 Nさんは私はあまり好きな人ではなかった。
 Nさんは我が家に時々遊びに来ては、自分
の孫がどれほど可愛いのかを私の両親、特に
母に語っていたのだ。
 それらの話は嫌味っぽさは無いものの完全
な自慢話の連続だった。どんなに自分の孫が
可愛いのかを説明するのだ。
 その孫自慢を我が家に来るたびに披露して
いくのである。
 孫のいない私の母はそれをじっと聴いてい
た。
 普通、ある程度の配慮の出来る人なら孫の
いない人に孫自慢などはしないと思うのだが、
このNさんはそうではなかった。
 わざわざ我が家にやって来て孫自慢を展開
するのだった。
 このNさんは決して悪人ではなく、善良な
感じの人である。
 だがどこか抜けていて、それに気が付かな
い人のようだった。
 母は少々呆れていたようだが、黙って話を
聴いていた。
 そしてNさんは、いつも一人楽しく孫自慢
をして帰って行った。

 そんなNさんも亡くなった。
 本当は通夜にも行きたくはなかったが仕方
が無い。
 葬祭場に着いた。
 受付が二つに分かれている。
 片方が、親族、ご近所・町内用、もう一つ
は県関係者用となっている。喪主である長男
が県職員なのだろう。
 会場の右半分が親族、町内の参列者が座る
ことになっており、左半分が県関係者や仕事
関係者が座ることになっている。
 私は右半分の後ろから2番目の席に座った。
 式が始まった。
 会場を見渡しても町内の人は、あまり来て
いないようだ。
 県会者の席は半分くらいまでが埋まったが、
親族、ご近所用の席はがら空きだった。

 どうも、このNさんは近所にあまり親しい
人がいなかったようだ。
 それで、我が家に来て孫自慢をしていたの
だろうか?

 そして、会場をいくら見てもその孫と思し
き子供は来ていなかった。