我が家のご近所・つまり町内会の当班では故人が出ると、
班の皆で揃って個人のお宅に弔問に伺うという慣習がある。
この弔問は逝去の報告があった翌日の午前中に行われ
る。
時刻は9時か10時といった頃である。
通夜よりも一足早い。
その頃には未だ縁故者たちは到着していない。
故人となったご近所さんに最初に面会するのは、町内の
同じ班の人たちということになる。
「真っ先にご近所さんに挨拶を」という意味合いが含まれ
ている。
弔問者は大体各戸一人ずつであるが、故人とかかわりが
深いお宅では複数名が参加する。
故人の親戚や友人・知人たちが集まり混雑する前の時間
帯に早めに面会しておこうという狙いもある。
今回の弔問時刻は9時だった。
私は5分前に家の通りに出た。
お隣のKさん宅の前には、SIさんが来ていて雑談をしてい
る。
この時は、皆普段着である。
TSさんのお宅は、新築されてまだそれほど経っていない。
まだ新しいお宅のドアを開けて中に入る。
玄関が靴・履物で埋まる。
故人はベッドに寝ていた。
銀色の掛布団がかけられている。
遺体は季節柄、腐敗を防ぐため保冷材等で冷やされている。
その冷気を逃さないように特性の布団のようだ。
~続く~