市政・国政報告会に行ってきた。その⑤

　代議士は話を続けていた。
　私は既に聴く気を失っていた。
　だが、途中退出するタイミングも計りかね
ていたので、仕方なく座っていた。
　すると代議士は、またしてもトンチンカン
なことを言い出した。
「今後、裁判員制度が導入されると日本は訴
訟社会になります。それで、Ｊ党による安定
した政権が望まれるのです」
　裁判員制度と訴訟社会化をいとも簡単に結
び付けるとは何とも安直であるが、それとＪ
党が政権を握り続けることとは何にも関係が
無い。
　この代議士は永田町でいろいろなことを皆
から吹き込まれていて、それらを殆ど鵜呑み
にしているようだ。
　こういった軽信の徒は、どこにでもいる。
　無思考・無判断で自分が気に入った説はこ
とごとく受け入れてしまう。
　それが素直で良いことだと思い込んでいる。
　こんな代議士を応援しなければならないの
か？
　
　代議士の話は8時まで続いた。
　その後のプログラムは質疑応答となってい
る。
　私は今が退出するタイミングだと思い立ち
上がった。
　他にも何人かが帰り支度を始めた。
　こんな代議士の演説を聴いていてもアホら
しい、と思ったのか、それとも最初からその
予定だったのか。
　社務所を出ると、代議士の秘書らしき男が
代議士のパンフレットを渡してきた。
　私は左手で受け取った。
　
　家に着くと、私はそのパンフレットをリサ
イクル用に分別している袋に入れた。
　読まずに食べたのはヤギさんだが、私は食
べずにリサイクルに回すことにしたのだ。
　そして私もやはり、そのパンフレットは読
まなかった。