不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ノーベル化学賞受賞の下村氏と竹取の翁。

 今年は日本人のノーベル賞が相次いだ。
 私はその中でも、化学賞を受賞された下村
脩氏に親しみを覚えた。
 見た目が何とも温厚そうで、ディズニー映
画に出てくる森の妖精のようである。
 あるいは、竹取物語の竹取の翁のようにも
見える。
 とても、ノーベル賞を受賞される学者のよ
うには見えない。
 うちの町内にもいそうな感じである。
 普通を通り越して、どこまでも素朴な感じ
である。
 下村氏は「これまで賞とか名誉とかに感心
を持たなかったし、受賞の連絡を受けてから
は対応に追われて忙しい。そういう意味では
受賞はあまり嬉しくないね」
 やはりそうなのか。
 名誉や賞をいつも気にかけていては、あの
ような佇まいは生まれないのだろう。
 名誉が欲しい、とかいつも考えているであ
ろう人間は、少なからず外見に現れてきてし
まう。
 学者という種族は、意外に名誉や賞が好き
である。
 そうではない人ももちろんいるが、その多
くは名誉好きである。
 学者は経済人と違って、単純に経済効果で
計れない分、名誉を求めるのかもしれない。
 それとも、子供の頃から良い子ちゃんとし
て褒められて育ってきているので、大人にな
った後も誰かに褒めてもらいたい習性が残っ
ているのかもしれない。
 学者は象牙の塔にこもって研究を重ねてい
るから純粋だろうと考えがちだが、その心中
は嫌になるほどの俗物だったりする。

 名誉=素晴らしい、などと考えている人間
の底は信じられないほど浅く、奥行きも無い。
 名誉やプライド、またそれを象徴する賞と
いったものは、人の純粋さを少しずつ削り取
っていく。
 名誉やプライドほど人を害するものは他に
は無いのである。

 私はテレビでの下村氏の淡々とした語り口
に魅了されてしまった。
 出来ることなら、日本のマスコミは下村氏
をそっとしておいて欲しいと思う。
 竹取の翁に過剰な照明は似合わないのであ
る。