不二家憩希のブログ

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社長になった係長 第3話

 マキコの父もまたこの会社の社長だった。
 若い頃からかなりのやり手としてられてい
たマキコの父は、若い頃土建業を起業しそこ
そこの成功を収めていたのだが、より一層の
成功を狙いこの会社に入社したのだった。
 典型的なエリートコースを生きてきたヤス
オの父と違い、叩き上げだったマキコの父の
頼みとするところは自らの金と人脈の力だけ
だった。
 生い立ちも性格も違う二人は、日々対立を
深めていった。
 その二人がついに激突することになった。
 後継社長を指名せぬまま社長が辞任してし
まい、会社は混乱に陥った。
 社内では、ヤスオの父はかねてから次期社
長の最有力候補とみられていた。
 そこに待ったをかけたのが、マキコの父だ
った。
 ヤスオの父は明晰な頭脳の持ち主だったが、
常に周囲から推挙されて出世してきたせいか、
少し脆弱な一面があり、状況判断力において
は、自らライバルを蹴散らしてきたマキコの
父には及ばなかった。
 マキコの父は勝つためには手段を選ばなか
った。かなりの賄賂が関係者に配られたとも
噂された。
 社内はヤスオの父を支持するグループとマ
キコの父を推すグループの二つに分かれた。
 この二つのグループの対立は、この後何年
も続き、現在でもその遺恨は残っている。
 壮絶な戦いの末、マキコの父が社長の座を
掴み取った。
 この後20年以上もの間マキコの父を支持し
たグループがこの会社を牛耳っていったのだ
った。
 
 ~続く~