不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

職人さんとコンビニ弁当

 3軒お隣の建売住宅の建築が進んでいる。
 毎日、朝7時半頃にトラックが一台、私の家の前の道
に止まる。
 荷台に黄色いシートをかけたそのトラックからは、二
人の職人さんが降りてくる。
 一人は棟梁もしくは上司で、一人は弟子か部下であろ
う。
 棟梁は、濃い紫のニッカポッカに白のタオルで鉢巻と
いうこだわりのスタイルである。一方若い人の方は、黒
のTシャツにクリーム色の作業ズボンである。
 トラックのシートの下から道具を運び出して、仕事の
準備をしている。
 建築現場から作業の音が聞こえてくるのは、それから
30分程してからである。あまり朝早くから作業を始め
ると騒音で迷惑になると考えているのかもしれない。
 そして休むことなく作業の音が聞こえるのだが、11時
45分頃になると、若い方の人が駐車しているトラックの
前を通って、どこかに歩いていった。
 若い人は5分ほどで戻って来た。
 手にはコンビニの袋を下げている。
 四角く膨れたその袋には、2人前のコンビニ弁当が入っ
ているようだ。
 職人さんが、お昼にコンビニ弁当か。
 ジャーなどに詰めた弁当というのが普通かと思えば、そ
うでもないようだ。
 今日では、家が建つようなところには、近くにコンビニ
があるので、家から弁当を持ってくる必要は無いのかもし
れない。
 あるいは、何らかの事情で弁当を持ってこられないのか
もしれない。

 以前聞いた話では、ある職人さんは朝食は自宅近くの喫
茶店のモーニングセットで済ませる。そして昼食は現場か
ら最も近い喫茶店に行ってそこで食べる、ということをし
ていたそうだ。
 朝食はともかく、お昼には喫茶店まで移動する時間が必
要なのでは?と皆が思ったそうだが、その人はクルマで行
くのだし、その方が良いと言っていたそうである。
 珍しいな、と思ったが、実はその人の奥さんは半永久的
に家を出てしまったので、結果的にそういう食生活になっ
たのだそうだ。
 人それぞれである。

 職人さんのお昼は、象印タイガーとかのジャーが必須、
という時代ではないのだろうか。
 作ってくれる人がいれば、そちらの方が良いとは思うの
だが、人には事情があるので何とも言えない。
 奥さんがいても、作ってもらえない人もいるだろう。
 
 コンビニの弁当を食べているからと言って、その職人さ
んの仕事が左右されるものではない。
 この建売住宅の職人さんも熱心に仕事をしておられる。
 だが、何か寂しいものを感じてしまう。

 第三者は本当に勝手なものである。