不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

スーパーのエントランスでのおばあさんたち

 いつもとは別のスーパーで買い物をした。
 帰り際、エントランスホールのベンチで、70代前半位の
おばあさんの二人連れが座って楽しそうに話をしている。
 お二人とも紺色の和柄のワンピースである。
 最近の若者に和柄のシャツ等が人気があるが、おばあさん
の世界では洋服に和柄を取り入れるなどということは、とっ
くの昔からあったことである。
 その模様は遠くからはドットに見えるが、紺地に主に白の
細かい模様は、現代にも生きる伝統の日本風デザインである。

 スーパーのエントランスホールは、店内ほどの冷房は効い
てはいないのだが、それでも屋外よりはずっと涼しい。
 熱中症が簡単に襲い掛かってくる外とは大違いの快適さが
ある。
 この空間は、特に誰にも気兼ねする必要も無いない気楽な
場所なのである。
 この二人ののおばあさんは、何をそんなに楽しそうに話し
ているのだろうか?
 少し聞いてみることにする。
「あ~そう?!」
「うっひゃひゃは!」
「そぅ~りゃ良かった!」

 特にこれと言って、重大なことを話しているようではない。
 自分や自分の家族や、共通や固有の友人、知人の近況の話
をしているだけのようだ。
 そんな話題だけで、あんなに楽しそうにお喋りだけで盛り
上がることが出来るのだから、感心してしまう。
 これは、おばあさんだけではなく、女性全般が持っている
特技なのかもしれない。男ではああはいかない。
 男の場合、話の中に何らかのトピックが無いと話が熱くは
ならないというのが普通である。
 だが、女性には特にトピックは必要ないようだ。
 ごく普通のことを語っているだけなのに、楽しくなれる。
 これは一般の男は持っていない能力である。
  
 家に招き入れてのお喋りも楽しいものだが、こういう気楽
な場所でのお喋りはまた別の楽しさがあるようだ。
 
 それにしても70歳を過ぎて、ああいう風に楽しく付き合
える友達がいるというのは、素晴らしいことだと思う。
 女性に友情は成立しない、などというのは一部の人だけの
ことなのかもしれない。

 それから、私はおばあさんたちの笑い声を背にスーパーを
出た。
 茹で上がりそうに暑い。
 暑い季節はしばらく続きそうである。