不二家憩希のブログ

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花火大会の観客席作りを見て

 いつも通る川の堤防で、花火大会の観客席の設営が始まっ
ていた。
 毎年、7月下旬の土日この地域のお祭りが行われるのだが、
このお祭りは、この市のお祭りの中でも規模が大きい。
 中でも夜の花火大会には、多くの市民が押し寄せる。
 ここの花火は、全国的にみても上位に位置するものだと思
われるのだが、他の有名花火大会のような知名度が無いのは、
観客席が少ないからであろう。仮に有名になったとしても、
人が収まりきらないだろう。そうなると、危険ですらある。
 これで、もっと人が集まれるスペースがあれば、テレビ中
継が来てもおかしくはないだろう。
 
 今作られている観客席は、堤防に足場を組んで作られるも
ので、地元の業者さんの手による。
 元々、観客席を作るためにある場所ではないところに、何
人もが乗る席を作るのだから、大したものである。
 足場を専門に作っている足場職人の業は、本当に見事であ
る。バランスやかかる重さなどが計算されているのだろう。
ああいうのは、長年の経験で分かるのか、それとも専門的な
計算によってはじき出されているのか。
 一夜限りの席ではあるが、これが無くては花火大会の趣は
まるで違ったものになってくる。
 これらの席は、地元の商工業者があらかじめ購入している
ので、一般のマーケットには流れてこない。ある意味、プラ
チナチケットである。幸運にも、この席に座って花火見物が
出来るのは、会社の接待のお客かその会社の従業員である。
 接待はともかく、福利厚生の一環として花火が間近に見ら
れるというのは、とてもリッチな体験である。
 それ以外の圧倒的多数の市民は、それぞれ花火が見られる
場所での立ち見である。こちらは、立ち見ではあるが、無料
である。
 
 そう言えば、何年か前、観客席を職人さんが作っていると
ころに、若い女性が、何か包みを持ってやってきたのを見か
けた。何やら楽しそうな表情と軽やかな足取りである。サン
バのステップを踏んでいるかのようである。
 その女性は、若い職人さんの奥さんであった。
 自宅が近いので、奥さんがお弁当を持って来てくれたのだ。
 若い職人さんに包みを渡し、何かを話している。
 どうやら、新婚さんらしい。
 とても、ほのぼのとした光景だった。
 
 私には、そのシーンが目に焼きついている。