不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

助ける手。

 随分前のことだが、私は本当に困った状況にあった。

 詳細は伏せるが、何をどうしたら良いのか自身を持って判断できなかった。

 沢山の人が私の周囲に集まってきた。

 彼らの中の殆どは私にこう声をかけてきた。

 「大丈夫?」

 私はその声には、無反応を通した。

 大丈夫ではなかったからだ。

 大丈夫ではないのに「いや、大丈夫です」と応えるのは不正直である。

 応答しない私に重ねて「大丈夫?」と尋ねてくる人も何人もいた。

 私は彼らに「大丈夫じゃないです」と返した。

 すると彼らは、どういう反応をしたのか?

 彼らは困ったような顔をして、無言のまま立ち去ったのだった。

 何だ、あの対応は?

 彼らは最初から私を助けようとするつもりで、声をかけたのか?

 ただ単に自分の興味で、自分の確認のために「大丈夫?」と聞いてみただけではなかったのか?

 そして、本当に私を助けてくれた人たちは、決して「大丈夫?」とは言わなかった人たちだった。

 彼らは私に尋ねることなくダイレクトに助ける方策を提案し、実行してくれた。

 彼らもかつて私と同じ状況を経験したに違いない。

 人を助けるには言葉よりも、まず行動である。

 祈る唇よりも、助ける手である。